付下げの衿元に付いた皮脂汚れをそのままにしていたところ、
青紺の地色が赤く変色してしまったというご相談をいただきました。
着物の衿は皮脂が付きやすく、
見た目では分かりにくい汚れでも、放置すると変色の原因になることがあります。
今回の事例では、皮脂汚れが原因で退色してしまった衿を、
適切な処置と染色補正によって改善しました。
■ご依頼内容
- 付下げ
- 衿元の皮脂汚れ
- 汚れを落とさず放置
■ご相談時の状態
- 衿に皮脂汚れ
- 青紺の地色が赤く変色
- 色の違和感が目立つ状態
■ビフォーアフター


■今回のポイント
今回のケースは、単なる汚れではなく、
皮脂による影響で生地の色が変化(退色)している状態でした。
皮脂汚れは時間の経過とともに酸化し、
染料に影響を与えて色が変わってしまうことがあります。
このような状態では、丸洗いだけでは改善できず、
原因物質の除去と染色補正の両方が必要になります。
■作業内容
- 丸洗い
- 揮発洗い
- 水洗い
- たんぱく除去処理
- 染色補正
■作業工程
まず衿元と袖口の揮発洗いと水洗いを行い、
皮脂や油分、ファンデーションを丁寧に除去します。
その後、全体の汚れを落とすために丸洗いを行いました。
さらに、たんぱく質系の汚れを分解する処置を行い、
変色の原因となる成分を取り除きました。
その上で、退色してしまった部分に対して染色補正を行い、
出来るだけわからないように整えています。
■仕上がり
- 赤く変色した衿 → 自然な色合いに改善
- 色の違和感 → 軽減
- 着用可能な状態まで回復
退色は生地の色自体が変化している状態のため、
完全に元通りに戻すことが難しい場合もあります。
しかし、適切な処置と染色補正によって、
見た目を整え、着用できる状態まで改善することは可能です。
■まとめ
皮脂汚れは目立ちにくいため、
「そのままでも大丈夫」と思われがちですが、
放置すると今回のように変色につながることがあります。
青色の染料は、色褪せしやすい色になります。
特に、紫色や紺色は青が抜けて赤っぽく、青色や緑色は黄っぽい色になり易いため注意が必要です。
すでに色が変わってしまった場合でも、
状態に応じて改善できる可能性があります。